子猫物語(5)


(どんな子猫が来ているのかなあ?)
 コゲが屋根裏に住みついて何カ月になるのだろう。春が来てあたたかくなったので、そろそろ屋根に登って屋根裏への入り口を探してそこを潰そうと僕は思っていた矢先に、その日が来た。
 お店の屋根裏で微かにミャ〜ミャ〜と鳴き声が聞こえる。最初は気のせいかな?と思った位ずっと鳴いていた訳ではなかった。またしばらくして気のせいにした声がまた聞こえてきた。僕はお店を出て店の周りに猫がいないか確かめた。お店に戻るとやはりしばらくすると微かにミャ〜ミャ〜と聞こえる。
 その夜は自宅に戻り、翌朝嫁さんに言った。
「あのコゲが子どもを産んだみたい。確かめてはないけど、コゲは逃げるだろうし、そのまま屋根裏に住みついてもらっては困るから、今日とりあえずその子たちを持って帰ろうと思う。その子たちをどうするかはそれから考えよう。」嫁さんはニヤッと笑って反対はしなかった。
 その日大変な思いをしてやっと屋根裏に入った。余談だが、屋根裏に入って仕事をしている人達が何故痩せている人が多いのかがよくわかった。僕は懐中電灯を握りしめバケツを伴ってゆっくりとほふく前進して声の所へ行った。行き先に光を当てると、そう見えたのだ。小さな物体が。
 僕はそこへ行った。そこはお店の隅っこにあたる壁と壁の角にあたる屋根裏だった。間違いなかった、子猫だった。二匹いた。しかも本当に小さい。平均的な女性の拳の半分もない位だった。僕はその小さな二匹をタオルを敷きつめたバケツの中にポイポイと入れた。ミャ〜ミャ〜と鳴き声が聞こえた。
 えっ?どういう事?
 ミャ〜ミャ〜と鳴き声はバケツの中からではなかった。