子猫物語(1)


(デブ猫でごめんなさい)
 何故、可愛い二匹の猫が我が家にいるのかは、去年の夏まで遡らなければ語れない。(でた〜、またまた回りくどい奴だな〜と思われるなかれ!)
 僕の居酒屋は、実は僕自身が育った家だ。その家を半分改装してお店にした。だからお店の裏側では年老いた母親がベットに寝ながらテレビを見ている。そう言うと、たまたまその場面に遭遇しただけだろう、とお叱りを受けそうだが、本当にそうなのだ。彼女は家にいる時間の99%はベットの上でその状態での99%はテレビがついている。大袈裟ではない。それを嫁さんも訪問看護の方も同意してくれるだろう。
 さて、去年のある夏の日、その母が「なんか子猫が来ているみたいよ〜」と僕に言った。掃き出し窓を覗くと確かにいた。約30センチ位の子猫が3匹僕の目の前にいた。一匹は茶トラ、一匹は三毛、一匹はこげ茶だった。僕はすぐに彼らをトラ、ミケ、コゲと名付けて餌を買ってきてやった。餌はモナカの物を持っていこうとしたが、モナカは血尿になって以来病院食を買っているので高価だからダメだと嫁さんが言ったのだ。確かにそうだ。僕は納得してモナカの5分の1の値段の餌を彼らに与えたのだった。親はすぐにわかった。塀の上でその様子を見守っている猫がいた。三毛猫だった。母親は子ども達が満腹していなくなるまで餌を食べに降りてこなかった。だけど僕は母親には餌をやらなかった。だってなつかない母親に餌をやって、また子猫を連れて来ては困るからだ。子猫たちは慣れたら捕まえて避妊して実家で飼ってもいいと思っていた。