ライ君とルナちゃん(7)


(こんな光景は奇跡的なのだ)
 今日もライ君とルナちゃんはリビングの端っこと端っこで横になっている。一見、のんびりとした平和な光景だ。実際に今年の春まではそんな光景で我が家はのんびりとした時間が過ぎていた。
 ところが今は・・・のんびりと横になっているライ君とルナちゃんの間を、というかソファや家具の上や下や裏側やはたまた網戸を登って上の棚までリビングの空間中をドタバタ、バタバタと右往左往にせわしく駆け巡る小さくて可愛い輩が二匹、我が家のリビングに住みついた。そいつらはライ君とルナちゃんにも傍若無人の振る舞いをする。ライ君のシッポや首周りの長い毛に手や口で絡むし、ルナちゃんにおいては可愛く立っている耳に挑んでくる。
 ライ君はそんな時もハッハ、ハッハと息荒くじっと耐えているが、ルナちゃんは一筋縄ではいかない。最初はじっとなされるがままになっているが、あまりにしつこいとウワンと一喝する。時には甘噛寸前までいく。初めの頃は、こちらがドキドキして「ルナちゃん許してあげて!」と可愛い輩を擁護していたが、今では逆に「ルナちゃん、あいつらに喝入れてやっていいからね。」と言ってばかりだ。
 確かに二匹の可愛い輩は、今年の春我が家に来た時はまだ女性の拳程の大きさだった。弱弱しい声で鳴いていた。動き回ってもパタパタした感じだった。それが4ケ月も経つと上に記したような状況になった。
 もうお判りだろうが、二匹の子猫が我が家にやってきたのだった。