ライ君とルナちゃん(2)


(今日はムンちゃんのお散歩の話しみたいだから
 私達は寝ておきましょう・・・)
 ムンちゃんの散歩では、成長するまでは大変だった。いつもはルンルンと機嫌良く散歩するのだが、たまに突然道の真ん中でウーウー唸って襲いかかってきた。僕がムンちゃんの首を腕で絞めてころがして取っ組み合いの喧嘩をする。道の真ん中でだ。これをピーちゃん先生に相談したら「ドーベルマンのようにいつキレるかわからない犬種だったら驚かないのでしょうが、この仔は普段がおっとりしているから驚きますよね。この仔がもし本気で襲ってきたら腕の骨なんて簡単に折れてしまいますよ。あれでも遊んでいるのですよ。全ては躾ですね。」と言われたので、どのように躾けたらいいのか訊いたら、先生は「とりあえずこの仔が行きたがる方向と反対方向へ引っ張って行ってみてください。」と助言してくださった。実践してみると効果てきめんだった。成長して落ち着いたムンちゃんとの散歩は愉快なものだった。泳いだり山へ登ったり、とにかくよく歩いたものだ。それでもムンちゃんの気まぐれは変わらなかった。草むらの中から何かを咥えて出てきて何やら飲んでいる。こら〜と怒鳴って駆け付けると、紙パックのいちごオーレを飲んでいた。卑し食い卑し飲みの癖になってはいけないので、それを取って崖下に投げ捨てると、ムンちゃんは急いで崖下へ降りていった。しばらくしたら嬉しそうに同じいちごオーレを咥えて現れた。「どこまでいちごオーレが好きなの!?」僕はそう言うと、それを取り上げてバックに入れ、家に帰ってからそれを捨て、ムンちゃんの為にいちごオーレを買いに行った。どこまでも親バカなのだった。
 47キロのライ君と58キロのルナちゃんを二頭連れて散歩していると大変ですねと言われるが、彼らの散歩なんて可愛いものなのだ。