ライ君とルナちゃん(1)


 最近この『ルナちゃん通信』おろそかにしている。お盆前後は慌しく忙しかったせいもあるが、本当の理由は別にある。それは先代のムンちゃんが8月に亡くなったからだ。正確には8月29日に亡くなった。だからお盆を過ぎて8月末まで僕は泣かない日はない。今は暑いのでライ君とルナちゃんの散歩は深夜の1時頃にするのだが、二匹を連れながら頭の中はムンちゃんと散歩した追想で涙が止まらなくなる。つまり僕はまだペットロスなのだろう。でも今は期間限定のペットロスだ。つまり8月お盆過ぎから8月末までの・・・多分!
 ライ君もルナちゃんもそれなりに我儘を言ったり、悪戯をするのだが、ムンちゃんを思い出すと彼らは可愛いものだ。散歩ではルナちゃんがかなり我儘を態度で主張する。特に最近はひどい。まず家を出てから左に行こうとするとピタッと立ち止まる。左は嫌だという主張だ。だから右へ行く。全ての道の交差点でそんな有様だ。『それは飼い主が甘えさせているからで、躾にとってもよくない』と愛好家からお叱りを受けそうだが、承知の上で甘えさせている。だってその他で問題行動は全くないし、家の中ではおとなしいものだ。以前記したように、時々我が家の敷地が広いと思っているルナちゃんは、道で立ち話している人や電柱に登って作業してしている人にうるさい程吠える位のものだ。だから僕は彼女の甘えを受け入れている。だって彼女はもうおばあちゃんだ。ただ困るのは、交差点で立ち止まりまっすぐ行きたくないという。右に行こうとするとそれも嫌だという。左に行こうとするとそれも嫌だという。じゃあ帰ろうと戻ろうとするとそれも嫌だという。「じゃあ、どこへ行きたいんじゃ!」と僕はキレて無理矢理リードを引っ張って連れて行く。女性の扱いは犬でも難しいのだ。ちなみに嫁さんが散歩する時はすごく従順だそうだ。確かに嫁さんは家族の誰にでも厳しい。
 そんなルナちゃんの我儘な時、ライ君はどうしているかと言うと・・・彼は本当に可愛いくて従順だ。右に行けば黙って張り切って先頭を行く。急に左に行こうとすると、「そちらでしたか!」と言わんばかりにすぐに左へ向け先頭を行く。ルナちゃんが帰ろうとすると、「やっぱり帰りますか!」と家へ向けて帰りはじめる。本当にけなげで可愛い。