ルナちゃん物語(4)


 ルナちゃんは夏の暑い盛りクーラーの効いたリビングでスヤスヤと寝ている。ライ君はだいたい腹ばいで寝るのだが、ルナちゃんは横になって寝る。時々はお腹を出して寝ている。あの体型で良くあの格好になれるなあと感心する。実はライ君はお腹を出して寝られない。もしライ君がお腹を出して寝ていたら壁や家具に身体の片側を支えてもらって仰向けになっている。だからこそルナちゃんの仰向けには感心させられるのだ。
 ライ君は家族が外出する時は、うるさい程吠える。牧羊犬だからなのか羊が逃げるのだとでも思っているのだろうか。ルナちゃんはそのまま寝たままか、吠えているライ君に向かって吠える。自分はうるさい奴を注意していますよ、と言わんばかりに吠える。ライ君の間抜けた高い声でワンワン、ワンワン吠えるのと、ルナちゃんのウォン、ウォンという野太い声が重なりうるさくてしょうがない。
 ライ君、ルナちゃんが吠える時はそれだけではない。電気ガス検針や郵便で人が我が家の敷地に入ってきた時に吠える。その場合ライ君が一人で頑張って吠えるのでルナちゃんは寝たままだ。んで、ルナちゃんが困ったものなのだ。ルナちゃんは我が家の敷地を正確に把握していないのだ。我が家はもっと広いと思っている。だから道で人が立ち話をしていたり、前の電柱に作業員が登っていたりしたらそれに向かって吠える。しかも、彼女の中で我が家の敷地がだんだん広がっているのだ。(本当だったら嬉しいのだが)
 ライ君は牧羊犬だけあって、我が家の敷地は正確に把握している