ルナちゃん物語(3)


 そんなお茶目なルナちゃんだが、そのルナちゃんを快く思ってない奴がいる。モナカだ。
 最初の出会いが悪かった。散歩から帰ってきたら人見知りの激しいモナカがそこにいた。当然ルナちゃんは追い掛けた。ただそれだけの事だしライ君も我が家に来た時に同様の事があった。だがモナカのその後の対応はライ君とルナちゃんとは大きく違った。
 ライ君の場合は一カ月も経つと、モナカが慣れてきてライ君に近づいてくるようになった。僕達がライ君に「ライ君モナちゃんが来たから動いちゃダメだよ。」と言った事もあるが、素直なライ君は座ったまま固まって、口を開けてハッハ、ハッハと言っている。そこをモナカが身体を舐めまわすように寄せて通っていく。そんな光景が毎日のように行なわれた。
 ところがだ。ルナちゃんは違った。ルナちゃんが我が家に来てからというもの、いつまでたってもモナカが近づこうとしないのだ。結局僕達は、ライ君とルナちゃんは広い居間に閉じ込めてモナカをもっと活動できるようにした。ルナちゃんがきてもう5年になる現在もその関係と環境は変わっていない。
 僕はある時ピーちゃん先生にその話をして「不思議ですよねえ。ライ君の方がバタバタと落ち着きがなく、ルナちゃんは家ではおっとりのんびりと過ごしているのに。」と話をすると、ピーちゃん先生は、
「猫の野生の感がそうさせているのではないですか。
ライは落ち着きがなくても正直者で、ルナは大人しそうだが何をするかわからない、という感覚を持っているのでしょう。」と言った。僕達は納得した。