ライ君物語(2)


(右がルナピンよ❤)
 本当に何が起こったのかわからなかった。「どうした!どうなった!」僕が血だらけの床の行方をたどっていくと、ライ君に行きついた。
 ライ君が鼻血を出していた。『な〜んだ、鼻血だったのか!』と言うなかれ。人間だったら・・・本当に小さい子だったら黙って寝ていろう。それより大きくなれば黙って言う事を聞いてくれよう。つまり『じっとしておけ!』という一言ですむ。
 ところが、無邪気なライ君はそうはいかなかった。「じっとしておけ!」と僕が言ってもしておく訳がない。ハウスに閉じ込めてもハウスが血の海になてしまう。僕はライ君を風呂場に連れて行った。そこにライ君を閉じ込めて、ピーちゃん先生に連絡をした。すぐに連れてきてください、という事で連れて行く事にした。が、それも大変だった。だって人間の子どもと違ってじっと黙っていない。鼻にティッシュを押し付けても嫌がって首を左右に激しく振る。僕は怒ってじっとしておけと首根っこを捕まえてティッシュを鼻に押し付けておこうと思っても僕には運転がある。嫁さんもそこまでの腕力はない。
 なんとかピーちゃん先生の病院についた。
 病院内でも大変だった。ようするに病院内が血の海になった。申し訳なかったが点滴と薬でライ君の鼻血は止まった。だがその処置で約一万円の出費だった。ライ君はいつもハッハ、ハッハ言うようなテンションが高い犬で、のぼせやすいのででしょうという診断だった。
 つつましい倹約生活をしていた我が家は、あの溺愛していたムンちゃんでもクーラーを掛けなかった我が家が、昼前から留守でもクーラーが掛かるようになった。嫁さんの一言だ。むろん僕に反論はない。
「鼻血を出されてお金が掛かるなら安いものよ。」
全く嫁さんの言う通りだ。
 血だらけだった我が家のリビング、廊下、風呂場、車の中は大掃除でむしろ、その前より綺麗になった。
ライ君はそれ以来鼻血は出していない。そのくらい我が家の夏は快適になったということだ。