ライ君物語(1)


 ライ君が我が家へやってきて、とっても賑やかになった。運動不足だった僕もライ君と散歩するようになってかなり歩くようになった。それでもライ君は太っていったのだが・・・。
 確かにライ君は優秀な犬で、ボールを投げて取りに来させるのでも、ムンちゃんは3回目で飽きて取りにこなかったが、ライ君は何度でも取ってきた。それでいて上手に自己主張もできた。つまり自分がきつくなったら、ボールを取りに行って帰りは僕の前を素通りして先に行くのだった。
 お手だのタッチだの基本的な所作も簡単にこなすし、ハウスもハと言えば、いや手でハウスを刺すだけでキビキビ、バタバタとハウスへ入った。
 何事にもまっすぐで一生懸命なライ君が僕にはけなげで可愛らしく思った。
 夏の暑さはは犬にとって厳しいが、我が家とてそんなに楽な生活ではないので、よっぽど暑い日でない限りペットの為に冷房をつけっぱなしです、なんて生活はできない。それは溺愛していた先代のムンちゃんとてそうだった。
 ところがライ君は思いがけない結果で、真夏を快適に過ごせるようになった。
 真夏ではなかったが暑かったある日、その事件はおこった。
 僕達が買い物から帰ると、なんと我が家の床が血だらけになっていた。何が起こったのかすぐに理解できなかった僕は茫然自失だった。
「殺人事件・・・?」