さよなら、ムンちゃん(2)


(これがムンちゃんの最後の写真です)
 ムンちゃんほどの大型犬を焼いてくれる所は市内にはなかった。僕達は市外にその場所を探してそこへ連れて行く事になった。僕達が自宅からムンちゃんを乗せた車を出そうとしたその時パトカーと一台の車が停まった。車の主はペット店の店主だった。彼は不慣れなこの地で警察に訊いて一緒に来たのだった。僕達は一緒に市外の焼き場へ向かった。
 彼は大きな花束を持ってきてくれた。前日から気が動転した状態で何も準備をしていなかったので、ムンちゃんの最後に花をたむけられた事は大変有難かった。
 骨になったムンちゃんを引き取るまで、長い長い時間を過ごした。
 遺骨を積んだ車を走らせ家に帰るまで僕達家族は無言だった。
 ムンちゃんのお蔭で、娘も息子も成長できた。家族間の難しい人間関係をどれだけムンちゃんが引き取ってくれた事か・・・時間が経てば経つほど、僕は涙に明け暮れた。