ムンちゃん物語(8)


(どこでも僕のものだよ)
 ムンちゃんがある日、急に食欲が亡くなり水をよく飲むようになり、オシッコを頻繁にするようになった。僕は電話でピーちゃん先生にその状態を伝えた。先生は「すぐに連れてきてください」と言われたのですぐに連れて行った。着くなり先生は「おそらく子宮膿でしょう。念のためエコーで見ましょう。」と言われ調べたところ、やはり子宮膿だった。すぐに手術をする事になった。
 という事でムンちゃんは入院する事になった。術後3日、長くて1週間の入院が必要との事だった。退院の判断は食欲が戻るかとの説明があった。
 手術の次の日の晩、ピーちゃん先生から電話があった。「何か食べたそうな顔をしていたので、缶詰をやったらペロッと食べ結局3缶食べました。これだけ食欲があれば、明日いつでも迎えに来ていいですよ。」
と言われた。僕達夫婦は、ムンちゃんらしいね、と笑った。
 翌朝迎えに行くと、いつもと変わらないムンちゃんがそこにいた。ピーちゃん先生は、取り出したムンちゃんの膿んだ子宮を見せてくれた。その子宮は人間の物とは(人間の物は見た事ないが)全く違った。
「袋のようなものが連なっていて大きなソーセージのようでしょう。この袋の一つずつに仔犬が入るのですよ。」とピーちゃん先生は説明してくれた。
 そんなお茶目で可愛いムンちゃんだったが、彼女は一つだけ大きな大きな問題を抱えていた。ムンちゃんは『雷パニック症候群』だった。とにかく雷が鳴ると、いや僕達がまだ聞こえない時点でも彼女は異常に怖がった。それを他の犬友だちに言うと、「この仔もそうなんですよ。」と言われるが、ムンちゃんの怖がり方は尋常ではなかった。