ムンちゃん物語(7)


(リンちゃんとミミちゃんは夫婦になりました❤)
 ムンちゃんは仔犬の頃は大変なおてんば娘だったが、2歳、3歳になるにつれ大変穏やかな犬に成長した。穏やかではあったがやる事はとてもおちゃめだった。
 車の後部荷台に乗せようと後ろのドアを開けると、ムンちゃんはピョンと飛び乗ってまたピョンと後部座席に乗るのだった。だから後部座席に人が乗る時はその人を先に乗せてから後部ドアを開ける。
 ムンちゃんを乗せたまま車から離れると、帰ってきた時は必ず助手席にいた。僕一人だけだとそのまま走るのだが、だいたいは嫁さんも一緒なので、助手席のムンちゃんをドアを開けてエスコートしてまた後部ドアを開けてやらなければならない。
 ムンちゃんは必ず僕のベットへ入ってくる。しかも自分用の立派なベットが一階と二階に二つもあるのにだ。しかも性質が悪いのは、47キロもある彼女は僕のベットに上がるなり布団の上にのる。そしてそのまま布団を巻き込むようにして横になる。だから僕は身体半分しか布団が掛かっていない状態になる。取り返そうと引っ張ってもビクともしない。夏はともかく、冬はたまったものではない。そんな状況が何ヶ月も続いて結局僕は一階居間にあるソファや炬燵で寝る事になった。つまりムンちゃんのせいで僕達夫婦は別居状態になったのだ。その状態は10年以上経った今も続いている。ムンちゃんが今も長生きしているのではない。ムンちゃんの亡き後僕のベットはそのままモナちゃんのベットになったのだ。