山田家の引っ越し


(さあみんなでお引っ越しだあ)
 ムンちゃん3歳、モナちゃん2歳、ミミちゃんリンちゃん3歳の時、我が家は引っ越す事にした。
 それまでは山の上の風情あるオンボロ家だったが、それはそれで大変気に入ってた。
 その頃僕の父が亡くなって、母が管理しきれない大きな家が残った。母は別の所に住んでいた。と言ってもそれら3ケ所の家は同じ市内でそれぞれに車で5分位の位置関係だった。
 僕達は結局父が残した大きな家に引っ越した。それまでの家とは雲泥の差だ。それまでの家は小さな部屋が2つにその倍の広さのレッスン室兼寝室。せまい廊下に小さなキッチンが付いていた。人がすれ違えないようなその狭い廊下を僕達家族が行ったり来たりしていた。唯一亡きウサギのピーちゃんだけすれ違えた。だからムンちゃんはバックがとても上手だった。
 次の家は(現在も住んでいる)大きな玄関に広いレッスン室(洋間)同じ大きさの和室、それにキッチンを付けても広い居間、それから2階にも部屋が2つある。
 僕は広い玄関の半分のスペースにウサギのサークルを作って、ケージ暮らしのミミちゃんリンちゃんを一緒に暮らせるようにした。ミミちゃんはメスだから、リンちゃんを去勢して二人で仲良く暮らしてもらった。二人はとっても仲良くなった。
 この引っ越しを一番喜んだのは、長い間狭いケージ暮らしだったミミちゃんだろう。いや、もう二人?いた。今までもかなり自由に暮らしていたムンちゃんだったが、今度はレッスン室と和室以外の全てに自由に出入りできたムンちゃんと狭い家の中でデブ猫になっていたモナちゃんだ。モナちゃんは行動範囲が格段に広がったし、ムンちゃんにおいては一階と二階に専用の大きなベットを据えてもらったのだった。