モナちゃん物語(1)


 モナちゃんは、我が家でのびのびと育っていった。当然だ。なにせ育ての母は47キロもある犬だ。モナちゃんはムンちゃんに果敢に挑んでいった。
 猫特有の玉を取る様な仕草をムンちゃんが覚えた。だから床に伏せているムンちゃんにモナカが突飛な行動から猫パンチする。それをムンちゃんがそのままの体勢で大きな手でバタバタと反撃する。そんな光景がモナカが成長するまで繰り広げられた。それを僕が、実況中継で「アーネスト・モナ対ボブ・ムン」として解説したりもした。これは当時流行ったK1の有名選手の名前をとったものだ。勝敗はいつもつかなかった。つまりモナカはムンの大きな手に挟まれてグニャンと鳴く事もなかったし、ムンはモナカの爪でひっかかれる事もなかった。
 モナカはムンちゃんと大の仲良しになった。
 だがモナカがきて大きく環境が変わった者もいた。ウサギのリンちゃんだ。
 それまで我が家はウサギのミミちゃん、リンちゃんと大型犬のムンちゃんがいた。
 ミミちゃんは洗濯機をかじって壊した日からケージ暮らしになっていた。リンちゃんは座敷ウサギを謳歌していた。ムンちゃんも来た初日にハウスを壊してからは我が家全体をハウスとして闊歩していた。ところがだ。モナカが成長するにつれ座敷ウサギのリンちゃんに果敢に挑むようになってきた。そこでリンちゃんは安全を確保する為にケージ暮らしをさせることにした。ケージを二段重ねにして一階がミミちゃんで二階がリンちゃんだ。