ムンちゃん物語(2)

 仔犬?ムンちゃんを家族みんなで近所の公園や学校の校庭に連れて行った。勿論彼女はいつも大喜びだった。喜びが制御できず幼稚園の息子にじゃれて向かってきてぶつかり、息子が倒され泣いた事も数回なんてものじゃない。その度に僕達夫婦は、
「ムンちゃんはまだ子供だから、悪気はないから許してあげてね」と言って息子を慰めたのだった。
 ただムンちゃんが悪気がなかった訳ではない事は、数ヶ月たったある日、いつものように息子に突進してきたムンちゃんが、僕達が見ている前でピタッツと直前に停まった時にわかった。
でも二人は仲良しで、ムンちゃんはいつも息子の傍で寝ていた。(その時のかわいい写真はたくさんあるが、僕のPCオンチで掲載できないのが残念だ)
 高校生の娘は時々散歩に連れて行ったが、よくムンちゃんだけ家に戻ってきた。その後しばらくしてから娘が「も〜う、ムンちゃんたら」と文句を言いながら帰ってきた。
 これには訳があった事を数ヵ月後に僕達が知る事になる。娘がムンちゃんをダシに使って僕達に言えないようないろいろな所へ連れて行っていたようだ。ムンちゃんもバカではない。少々の所では自分で首輪を抜けて脱出していたのだった。
 何故それを僕達が知ったのか?
 ある日テレビ局から電話があった。よく繋がれている可愛い犬がいて、興味があるので取材に行っていいか?という打診があったのだ。その後も僕は、いろいろな人からこの犬がよくここにいますよなる情報を聞く事になった。
 そんな事がムンちゃんの脱走技術を高めたのか、彼女の脱走癖はこんなものではなかったのだ。