ムンちゃんが来た


 僕達はピーちゃん先生の所へ行って訊いた。
「僕も家内も小さい頃から犬を飼った事がないのですが、いきなり大型犬を飼うのは無謀でしょうね?」
 するとピーちゃん先生は、
「大型犬も小型犬も犬は犬ですから、そこは気にしなくていいのでしょう。ただ小型犬だとあらあらで終わる事が、大型犬では大変な事になる場合もあるので、しっかりと躾をしなくてはいけないでしょうね。」
と、いつものようにクールに言った。
「その躾は素人がするのは難しいのでしょうね?」
「いや、大型犬というのは性格がいい子を大型にしてきた歴史があるので、むしろ小型犬よりも易しいのではないですか。」
「餌もよく食べるのでしょうね?一袋8000円の餌を薦められているのですが?」
「大型犬は見た目ほどは餌を食べませんし、一袋8000円なんて餌は私の所の病院食でもそんなにしませんよ。」
「どのくらいの餌を用意したらいいのでしょうか?」
「餌というのは飼い主の哲学が反映するのではないですか?おいしくないサプリメントばかり食べて長生きしたい人もいれば、好きな酒を飲んで長生きしたくない人もいる。どんな生き方をしたいかは、ペットにもどんな生き方をさせたいのかに通じるような気がします。」
「僕個人としては短い人生でも好きな酒を飲みたいと思っています。」
「自分の犬を実験した経験ですが、安い餌の方が犬にとっては美味しく感じているようです。ただ安い餌はいずれ結石等の病気になる確率が高いので、テレビでよく紹介されている餌ならいいのではないですか?それなら一袋2000円位でしょう。」
 ピーちゃん先生の助言で決定した。
 僕達はたくさんのペット躾本を買い込んで、犬小屋的なスペースを日曜大工で作り、お金を用意して次の日に子どもの大型犬を迎えに行った。