我が家に大型犬?


(大型犬って私の事?)
 ピーちゃん先生が言っていたように、ウサギには予防注射もフェラリアの薬も必要ないから、ピーちゃんが亡くなってからはピーちゃん先生の所へ行く事もすっかりなくなっていた。つまりミミちゃんもリンちゃんも元気だっていう事なので、それはそれで喜ばしい限りだが、ピーちゃん先生と話が出来ないのはちょっと寂しい。
 そんなある日、よく行っていたホームセンター内のペットショップに、珍しい可愛い犬がいた。まだ子供だというのに柴犬の成犬位の大きさがあった。一目惚れとはこういう出会いなのだろう。僕はすっかりその仔犬にぞっこんだった。店員の「大型犬は大きいほどいいんですよ。この仔は大きくなりますよ。」という言葉に魅了された。
 嫁さんの「ほら、あの時の犬よ!」という言葉に、僕はファンタジーの世界に入ってしまった。
 あの時とは、何年か前に家族で海水浴を兼ねて近県へ家族旅行へ行った時の話だ。道の駅で休憩していた時、ベンチで小学低学年位の姉と幼稚園位の弟が並んでソフトクリームを舐めていた。その横で大人しく座ってベロを出しながら姉弟を見守っている大きな犬がいたのだった。犬が大好きな僕はその姉弟を前に、「可愛いねえ、触っていい?」と訊いてもみくちゃにした記憶を甦らした。
 嫁さんが「あの時の犬がこのバーニーズマウンテンドッグよ。」と言った。
 店員が「今なら値段も下がっていますし、お買い得ですよ。」と言った。
 僕が「犬を飼った事がないから、飼うのだったら、何が必要ですか?」と訊いた。
 店員が「この位の犬でしたら、この餌をお薦めします。」と言った餌は6キロ8000円もする代物だった。
 僕は「ちょっと待って!また来るから。」と言って嫁さんと久しぶりにピーちゃん先生の所へ行った。