第三幕第一場 第七夜(7)

「それで今日は池野家にお邪魔して勉強を教えていたのです。」
「うしだって、ちゃんと真面目に勉強しているんですよ〜。」
「それで雑談から、今晩赤ハリプロジェクトのメンバーがお店に集まるみたいだって、響ちゃんに言ってしまったのです。」
「そう、うち聞いてしまったので〜す。」
「そしたら響ちゃん、僕についてくるって言うから、僕は行かないって言ったのです。」
「だからうちがオロチに言ってやったの。あんたも赤ハリプロジェクトのメンバーなら行かなければダメじゃないって。」
「そうなのです。で、親にお迎えを頼めるのなら連れて行ってもいいと言ってしまって・・・こうなってしまいました。すみません・・・」
「なんでオロチが謝るのよう。うちだって赤ハリプロジェクトのメンバーなんだから参加する資格はあるのよ。」
 大人しく二人のやりとりを聞いていたタア子が、我慢できなくなって口を開いた。
「あのなあ、今何時だと思っているんだ?高校生がウロウロするような時間ではないだろう?それにここは居酒屋だよ。」
「だって地下鉄でも街中でも高校生はウジャウジャいたよ。それにうちは親の承認を得てるし、保護者もいるし・・・ねえ?」
タメ池はそう言うと、オロチに同調を求めた。それを遮るようにタア子が、
「オロチは保護者にはならないよ。」
と言うと、タメ池はすかさず、
「オロチじゃないもん。うちの保護者は権藤のおばちゃんで〜す。」
(権藤のおばちゃん?・・・あっ、イルカさんかあ)
「赤ハリプロジェクトのメンバーであった権藤のおばちゃんの後継者がうちだからね。どうぞお忘れなく。」と、タア子に言い返した。
 タア子に言い負けていないタメ池はたいした玉だ。イルカさんはその玉で遊ぶのではなく、玉に遊ばれているのだろう。だって今夜タメ池を迎えに来るのはイルカさんだと私達は知らされた。