第二幕第一場(6)


(明けましておめでとうございます。
 本年もどうぞよろしくお願いします
 小説オペレッタ『赤ハリ先生の居酒屋』も
 まだまだ続きます。
 こちらもどうぞご愛読くださいませ。)
「は〜い、これからはうちが自分で話ま〜す。」と池野響が言って弾丸の如くしゃべりだした。
「うちの母さんの友達に権藤さんって人がいて赤ハリにピアノを習っているのよね。」
(あ〜、アラフォー主婦のイルカさんだあ。)
「それでその権藤のおばちゃんから赤ハリプロジェクトの事を聞いた訳。そして赤ハリが居酒屋をする店を探している事も聞いた訳。」
(みんな「赤ハリ通信」メールを見てくれているのだわ)
「んで権藤のおばちゃんが言うには、なかなかいいお店が見つからないので何か情報があれば教えて欲しいって、おばちゃんからうちの父さんに話があった訳。なんでうちの父さんに?って思っているでしょう。」
(そんな事思ってないって!誰もあんたのお父さんに興味ないわよ)
「うちの父さん司法書士しているの。それで父さんがよく知っている不動産屋に権藤のおばちゃんが言うような物件を探すように頼んだんだって。するとすぐに返事があったんだって。いい物件があるって。だからうちが急いで赤ハリん家に来たっていう訳よ。以上!」
(こいつタア子以上にタメ口だわ。これであだ名は決まったようなものね。タメ口の池野だからタメ池よ)
「ねえねえお願い、うちも赤ハリプロジェクトのメンバーにして。権藤のおばちゃんは、自分は子育てもあって忙しくて役に立てそうもないからうちに代わってくれって言ったんだ。ねえいいでしょう。お願い赤ハリ!」
 これにはさすがのタア子もキレた。
「あんたねえ、これは大人同士の話なの。しかも赤ハリプロジェクトのメンバーに赤ハリは入っていないの。代表は私なのよ。あんたは未成年者だからダメダメ!」
 珍しく赤ハリ先生の反応が早かった。
「まあまあ、赤ハリプロジェクトの話は別にして、とりあえず響ちゃんのお父さんが紹介してくれた物件を見に行ってみましょう。私は君達にも是非一緒に来てもらいたかったのですよ。」
「も〜う赤ハリったら、そうやって子供を甘やかすからつけあがるのよ。自分の先生に対して何、あのタメ口。」
(おいおいタア子、あんたがそれを言うかあ)