第一幕第四場(13)

 楽しい夜だった。居酒屋のハシゴなんて初めての体験だった。
 タア子に対する見方が変わったかもしれない。私が何故タア子と一緒にいるのが、少しだけ理解できたような気がする。私は湯船に首まで浸かりながら、今晩のタア子との楽しいおしゃべりを思い出していた。(さすが経済学部の庶民派ね)改めてタア子に感心した。
 風呂からあがり、冷蔵庫からオレンジジュースの瓶を取り出してコップに注いだ。私はそれを飲みながらマジマジと瓶を見つめながら苦笑した。そして今度は半分になったコップのジュースに、高級なカシス・リキュールを少し注いで氷を浮かせてゆっくりと飲んだ。
(第一幕終わり。次回から第2幕です。)