居酒屋巡り

第一幕第四場 居酒屋巡り
 週末、私はタア子と一緒に、先生と待ち合わせの約束をした場所へ向かった。そこは犬の銅像が有名な待ち合わせ場所だ。田舎者のお上りさんが待ち合わせるその場所の名を赤ハリ先生から聞いた時は閉口したが、犬好きな赤ハリ先生を思って少し納得した。だがこの有名な犬は映画にもなっていて、先生は可哀想で見ていられない、と言っていた筈だ。それなのにその可哀想な犬の前でよく待ち合わせられたものだ。私は先生の神経を疑った。
 そして銅像のあるこの場所に着いた今、更に先生の神経を疑う光景を見た。
「赤ハリ〜!時間に遅れちゃった、お待たせ〜❤」
「別に構わないよ。この犬を見ながら缶ビールを飲んでいたから退屈しなかったよ。」
「これから居酒屋をハシゴするんだよ。赤ハリ、どんだけ飲むんだよ!」とタア子が、私の顔に書いてある言葉を大きな声で音読してくれた。