第一幕第三場(3)

「うちの奥さんは料理が美味いから。」
「美味いから何よ、赤ハリがお店をするのでしょう?」
「お店って言っても居酒屋だからねえ。」
「だから居酒屋でしょう?料理を出すんでしょう?」
「料理って言ってもちょっとした食べ物を出すだけなんだよ。」
「それって居酒屋ではなく飲み屋?」
「いや自分としては居酒屋のつもりなんだけどねえ。」
「居酒屋のつもりねえ・・・」
 さすがのタア子も次の文句が出なかったようで、みんなが沈黙した。
 そういえば私が小学生の時、こんな沈黙の後に赤ハリ先生が言っていたなあ。
「あっ、天使が通った!ハハハ、みんなが黙った時は、みんなの頭の上を天使が通っているんだよ。」って。
 私はその言葉を大変気に入った。それ以来、今でも私はこのセリフを使っている。
「天使が帰らないうちに訊きますが、赤ハリ先生のお店って、どんなイメージなんですか?」
私の質問に、赤ハリ先生は少し考えて宙を見つめながらゆっくりと話した。
(次回は12月5日に掲載します。ごめんなさい)