第一幕第2場(8)

 絶望的な静けさだ。しかもここは場所が悪かった。図書館併設の喫茶店だからかBGMすら流れていない。静寂なだけならまだいい。時折深い溜め息まで漏れ聞こえてきた。
 タア子までみんなと一緒に落ち込んでいる。まったくもう・・・しかたがない!私がこの空気の澱みを軌道修正してやる事にした。
ハリネズミの葛藤は、結局お互いにいい関係の距離を見つけるのよ。私達も、私達の中の距離と赤ハリ先生との距離と、どの位の関係がいいのか話し合いませんか?」
『赤ハリプロジェクト』の話し合いは、様々な意見があったものの結局、みんなはタア子の論理的でない強引な力説の前に屈した。みんなで直接なり陰なり赤ハリ先生を支援していこうという事でまとまった。なんだかんだ言っても、赤ハリ先生のお弟子さん達はみんないい人達なのだった。そして私が事務的に『赤ハリ通信』なる報告や情報を、みんなのメールに発信する事になった。
(第一幕第二場 終わり)
この小説に出てくる人物その他全てはフィクションです。