赤ハリ先生のお弟子さん達

 第一幕第二場 赤ハリ先生のお弟子さん達
 今、目の前に赤ハリ先生の門下生達が集まっている。
 ここが騒々しい居酒屋ではなく、洒落たランチを出すレストランでもなく、図書館併設のお世辞にも雰囲気のいいとはいえない喫茶店だという事が、私達の関係を物語っていた。つまり門下生といっても、大学生3名にアラ・フォーの主婦とOL、それにかなり年配のおばあちゃま、あと40代らしき男性の計7名が集まった。発表会のプログラムを見る限り大人はこれで全員集合だ。他の門下生、つまり幼稚園児から高校生までの子ども達は赤ハリプロジェクトの構想には入っていない。
 大学生の3人とは、私とタア子とオロチこと山多君だ。
 山多君は私達とは違う大学に通っている。オーケストラ部に所属していてヴァイオリンを弾いているらしい。実力の程は未知数だが、彼の弾くピアノと同レベルだとしたら、オーケストラの中でも最後列で弓を動かしているのか?いないのか?という存在、つまり音楽や指揮者と格闘するような戦力にはなっていないと思われる。