第一幕第一場(6)

 オロチ君からのニュース・ソースはせいかくだったようだ。タア子に赤ハリ先生からメールが届かなかったのも理解できた。あいつのおしゃべりは雑音そのものではないか。とはいえ、タア子には連絡しておくべきであろう。放っておいたりしたら、それこそ彼女の雑音はとめどもなくスイッチの壊れたスピーカーのように垂れ流され続けるだけだ。だったらメールを見た私が少しは善処する義務がある。そう、赤ハリ先生の為にも。
 私はタア子にメールを送信した。
『オロチ君の情報は正しかったようです。だけど今は赤ハリ先生をそっと静観しておきましょう。一度先生の弟子達で集まりませんか?私達で赤ハリプロジェクトを組織しませんか?タア子が代表になってください。』
 予想通り間髪いれずの返信があった。
『わかったわ。でも代表はブラマンがなるべきよ。お弟子さん達には私が連絡してみるね。』
 こちらも即メールを返した。
『私は代表の器ではないので、絶対にタア子がするべきよ!その他の事は協力するから。是非ともタア子が代表になって!』
『了解!では早速みんなに連絡してみます。』
 作戦成功だ。しかも案の定、タア子は代表と雑用係は同義語だと思っているみたいだ。