オペレッタ「赤ハリ先生の居酒屋」

 オペレッタ「赤ハリ先生の居酒屋」
 第一幕第一場 先生からのメール
 その騒動は突然に降って湧いた。私の所へ降って湧かせたのはタア子だった。本名、安藤多賀子。タア子というあだ名の名付け親は私だ。彼女と出会った頃は多賀子と呼んでいた。だが、こいつの脳みそは少々抜けていた。
 去年の話だ。タア子の部屋でスキ焼きパーティーをやろうという事になって食材の買い出しの話で盛り上がっていたところ、タア子の口から訳のわからない食材の名が飛び出す。
「玉ねぎもいるわね」
(玉ねぎ?・・・タア子ん家は玉ねぎを入れるんだ)
「ジャガイモと人参も買わなくっちゃ。」
(ジャガイモ?・・・人参?・・・!)
「タア子、それって肉じゃがではないの?」
「えっ、牛肉とじゃがいもと人参と玉ねぎを炒めて煮たやつでしょう。」
「だからあ、それが肉じゃが!しかも私たちはスキ焼きをつくるのよ。」
「え〜我が家では、ジャガイモの入ったやつをスキ焼きって言ってたわよ。」
「んなバカな。」