エピローグ(終わり)


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 1773年、エッセンの修道院長アンヌ、シャルロッテが59歳で亡くなった。
 前日の晩、修道院内で演奏会があった翌朝、彼女は眠るように亡くなっていた。
 演奏会は当時は珍しかった弦楽四重奏で、彼女はたいそう喜んでいたという。その時に演奏された曲は、全曲ともヨゼフ・ハイドンというウィーンで大変有名な作曲家の弦楽四重奏曲だった。
 アンナが逝ったその晩、修道院内で初めてオーボエの音色がいつまでも響いていた。
 同時に、何代目かのデンがいつまでも遠吠えを繰り返していたという。
(終わり)