私が崖から落ちた訳(3)

 その大きな公園は深夜までは点在する照明が辺りを明るく照らしているが、深夜0時を過ぎると省エネの為かほとんどの照明が消え、辺りは真っ暗になる。真っ暗な広い公園はちょっと心細い。男とはいえ一人で歩くには勇気がいる。ただ、私の場合一人ではない。守ってくれるとは言えないが、こいつらと一緒にいる私を襲ってくる暴漢はいないだろう。こいつらとは、当然グレート・デンのルナとベルジアン・タービュレンのライだ。
 深夜真っ暗な公園を散歩する者は誰もいない。だから、これはいけない事だが私たちはリード無しで自由に散歩していた。ルナもライも楽しそうだった。特にルナは自由気ままに、我が夜の春を謳歌していた。私は彼らに付き合う事なく勝手に先へ先へ歩いていた。しばらくしてハアッハ、ハアッハと急いで着いてくるのはライだった。もっとしてルナがハッハッハッと走って追いついてくる。するとまた彼らは勝手気ままにしている。その繰り返しだった。
 そのうちに、いつからとなく面白い遊びが始まった。まさに深夜の真っ暗な公園でないとできないような遊びだった。