私が崖から落ちた訳(2)


 夏の散歩は暑いのでおのずと時間が決まってくる。夜か日の出前の早朝だ。私たちが(ルナとライ)毎晩のように深夜の公園の散歩を楽しみ始めたのは6月ごろからだった。きっかけはホタルだった。前回記した大きな公園の中には子供が遊べる小川があった。それとは別にもっと小さな自然の状態に流れている小川が木々に囲まれてあった。その小川に沿って木でできた遊歩道があった。昼は多くの人々が遊歩していた。
 ある日の深夜私たちはその遊歩道を歩いていると、なんとホタルが飛んでいるではないか。深夜1時を過ぎていた。その光の点は一つ二つではない。ざっと30はあった。おそらくこんな所にホタルがいるとは誰も知るまい。私たちはこの素晴らしい幻想的な散歩を毎晩のように楽しんだ。時期が過ぎてホタルはだんだん減ったが、7月に入ってもホタルを見つける事が出来たし、最後は草影で点滅している一匹のホタルに感動したものだった。
 私たち(ルナとライ)はホタルの季節が過ぎても深夜の公園を散歩するのが日課になった。
 その公園の深夜のお散歩でで私は骨折した。
(音楽ミステリー小説『調和の霊感』は、9月24日から再開します。)