謝肉祭の広場で(6)


(デンはこんな感じでお留守番)
 三人娘たちは、ピエタへ帰る途中もずっと無言だった。周りは謝肉祭で浮かれているのに、彼女たちの上にいる天使たちだけが難しい顔をしながら考え事をしていた。
 その中で一番難しい顔をしていた天使が、ポツンと気のない矢を射た。
「わたしはまだなんだか腑に落ちないわ。アントネッラがクララにトファナ水で何かをしたなんて考えられないし考えたくもない。なにより不自然だわ。」
 それを見た一番年長の天使は、太陽に向けて矢を射た。
「さあさあ、世間は楽しい謝肉祭よ。そんな浮かない顔をしないの。
 明日は練習も休みだし、皆で仮装して街へくりだして大騒ぎしましょうよ。音楽も理性も追及しているプレーテ・ロッソも、意外にこの街のどこかで神の祝福を受けているかもよ。」
 太陽の天使は思った。こんな時だからこそ、プレーテ・ロッソが傍にいて欲しかった。だが同時に、可愛い天使のような妹たちの存在に、キアーラはとても感謝した。
(第2章ストラディヴァリウスの秘密 終わり)

(第3章娘たちの謝肉祭)は5月28日(月)から
連載します。
明日は第2章にあるストラドの解説をします。