クララの病気(4)


(最近のデンの活躍にルナは上機嫌)
 パオラがドアを開けると、そこにキアーラが立っていた。だが彼女だけではなかった。それを見たパオラが、ベッドで腕組みをして考え事をしているアンナに声をかけた。
「お〜いアン、お坊ちゃまが来たぞ~」
「そうよ、私が寝ようと部屋へ向かっていたら、こいつが『お〜い、もう寝る時間だよ〜、アンの部屋へ連れて行ってくれ〜』と言ったのよ。はいっ、確かに渡したわよ。」
 パオラが、キアーラからデンのリードを引き取りながら言った。
「キャラすごいじゃない。デンの言葉がわかるようになったのね。」
「んな事ある訳ないじゃない。アン、私は知っているのよ。あなた夜中にデンを迎えに行っては、自分の部屋に連れて戻って一緒に寝ているのでしょう。しかも毎晩。」
 アンナがパオラからデンのリードを引き取りながら言った。
「やっぱりキャラにはバレていたのね?」
「当たり前じゃない。あなたどんな足音で廊下をウロウロしているのよ。それからデンの足の爪を切ってあげなさい。じゃあ今度は本当におやすみなさい。」
そう言ってキアーラが行くと、パオラもあくびをしながら、
「私も、もう寝るわね。続きは明日ストラドと一緒に話しましょう。おやすみ。」
と言ってアンナの部屋を出ていった。
 外でまた鳥が鳴きだした。アンナは、その鳴き声から先程の鳥と同じだと思った。その声にデンが反応した。垂れ耳を前に動かし、首を伸ばし、鼻を窓の方に突き出してヒクヒクと匂いを嗅いでいる。
「さあ、私たちもやすみましょう。」
アンナがそう言うと、デンはベッド横に向かった。そこで二、三回程身体をゆっくり廻すと、ドンと床に伏せると大あくびをして目を閉じた。