アンナの部屋で(1)


(私の部屋よ)
 三人娘たちはアンナの部屋に集まっていた。
「だからアンナ・ジローをプレーテ・ロッソに紹介したのがストラドだったのよ。しかも一緒に演奏旅行をするようにそそのかしたのも、なんとストラドだったのよ。ビックリでしょう。でも変な噂はなくなるはずだって。それは・・・」
 パオラの話にアンナが口を挿んだ。
「ジローさんの妹も一緒だった、のね?」
「そうなのよ、よく知っているわね。ではここで問題です。なぜストラドは、プレーテ・ロッソにジローを連れていくように提案したのでしょうか?」
 パオラの質問にアンナは質問で応じた。
「それより、ヴィヴァルディ先生はどうしてヴェネチアを出ていったの?そしてアンナ・ジローを連れてどこへ行ったというの?」
 二人の会話を楽しんでいたキアーラがパオラとアンに向かって言った。
「パオ、いろいろと話したい気持ちはわかるけど、話がどんどん流されているわよ。アンもパオの質問に答えてから質問しようね。」
 キアーラは二人の気持ちがわかっていた。パオラはアンナが可愛くてしかたがなく、アンナは早くヴィヴァルディの事を知りたがっていた。だからキアーラが会話の交通整理をしてあげる事にした。