デンとアンナとピーノ(3)


(私も好奇心いっぱいよ❤)
「人間?ピーノ、あなた今、人間と言ったよね?殺鼠団子を人間も食べるの?」
「お前バカか、人間が食える訳ないじゃないか。食べたら死ぬんだぞ。」
 アンナはカチンときた。二人はいつもこうだった。ピーノの悪口雑言に、アンナの冷静沈着な思考は、こうしていつも混乱させられてしまうのだった。
「お前ではない。アンと呼びなさい。」
 すっかりペースを乱されてしまうアンナであった。それも楽しかった。だがアンナはなんとか自分のペースをとり戻したかった。
「ピーノが言ったのではないの。あの団子を食べるのは鼠と人間だけだ、と。」
「言ったよ。でもあの団子とは言ってないぞ。あんな物と言ったのだ。あんな物、つまり団子の原材料だな。わかったか、バカ!」
「ではそのバカが訊くけど、原材料は何なの?」
「それはわからない。」
(わからないって、ならピーノがバカじゃないの!)
「では人間がその原材料で何をしているの?」
「アンは顔が白いから関係ないけど、それを使うと顔が白くなるんだってさ。」
「もしかして化粧水の事?」
「そうだよ。あの団子と化粧水は同じものでできているんだよ。だから使ってはいけないと、父さんが言っていたんだ。」
「なんだ、お父さまの受け売りなのね。」
アンナがそう言うと同時にピーノが叫んだ。
「こら〜デン!その中はダメだ!」
ピーノが叫んだ遠い先で、デンが大きな甕に前足をかけて中を覗いていた。ピーノはデンのいる方へ駆けだした。アンナもそれに続いた。アンナ本人は全力で走っているつもりだったが、周りでは優雅に歩いているように見えたかもしれない。