パオラの手紙(4)


(読んだ〜?)
 アンナが手紙を読み終えるのを待っていたキアーラが声をかけた。
「これでわかったでしょう。私とパオの関係が。だから私はアンが思っているようないい人間ではないのよ。私の嫉妬からパオを苦しめたという十字架は、私が一生担いでいくつもりよ。だから私は現在恋人もいないし、結婚もする気はないわ。
 これでアンの質問には全部答えたわ。さあ、他に何か質問はあるかな?」
 アンナは、別にないからと言ってキアーラの部屋を出たが、知りたい事は他にあった。でも先に、パオラに会っておきたかった。
 キアーラもそれを察していた。なぜなら、あの賢明なアンナが、アントネッラの事に喰いついてこなかったからだ。アンナの性格を思えば、すぐにでもアントネッラに関しての質問をしてくるはずだ。彼女が黙って帰ったとすれば、それは今のタイミングではないと判断したのだろう。本当に賢い娘だ。キアーラは改めてそう思った。