パオラの手紙(2)


(ほらっ、これだ!)
『  愛するキャラへ
  キャラ、今回の事では本当にあなたを苦しませて しまった。本当にごめんなさい。
 でも誤解しないでね。私はあの日、絶対にアントニ オさんに会っていない。神と聖マルコに誓えるわ。
  でも、なぜキャラが私を疑ったのか?
  いいえ、なぜ私に謝肉祭の衣装を渡したのか?
 私なりに考えたの。
  そして、私の軽率な行動の数々が、結果的にキャ ラを苦しませてきたのだと、今さらながら気づいた の。
  もし、キャラが私を少しだけでも信じてくれるな ら、このまま 私の手紙を読んでちょうだい。

  もう4年前の話になるのね。
  キャラが私の前でアントニオさんと別れたって話 してくれた。涙なんか見せないキャラが、その時初 めて私の前で泣いたよね。
  その時、私はとにかくキャラの為になんとかした かった。そしてアントニオさんに会った。でも、彼 の話を聞いているうちに、キャラたち二人の運命の 中では、私なんかあまりにも無力な存在だと悟った の。
  それでも、二人の為に何かできないかと一生懸命 に考えたの。その結果、私は時々アントニオさんに 会いにいって、キャラの事やピエタの事を話した。 もちろん、キャラには遠慮しながら会っていたつも りだった。
  お昼休みの少しの時間だけ、私が一方的にアント ニオさんに話をして帰ったの。それだけでもアント ニオさんは喜んでくれたわ。特にキャラの事をお話 すると、本当に嬉しそうに聞いてくれた。
  その頃は、私がキャラたち二人に少しでも役に立 てればという思いでいっぱいだった。
 アントニオさんは、私がキャラの本当の妹みたいだ と、よく言っていたわ。それに、私が羨ましいとも 言っていた。その言葉が、私にとってどんなに嬉し かった事か。
  でも結局、そのような私の軽率な行動、キャラの 為にと思ってしていた行動が逆にキャラを苦しめて いたなんて、私はどれだけ愚かだったのだろうか。 本当に恥ずかしいわ。
  キャラ、反省しているわ。そして今までキャラが 苦しんだ分だけ私も苦しむわ。
  だからキャラ、私を許して。お願い。