キアーラが練習を休んだ日(3)


(昨日はちょっとアップ過ぎました)
 パオラはキアーラのベットに座って泣いていた。できるだけ声を押し殺して涙をこぼしながら、キアーラが何か言ってくれるまでじっと待った。
 キアーラは椅子に座って、すっとうつむいたままだった。パオラは、キアーラも泣いているのが震える肩でわかった。だからパオラは思った。私は泣いてはいけない、と。でも涙が止まらなかった。
「パオ、アントニオが結婚するんだって・・・私、ふられちゃったの。」
と、キアーラは力なく、しかしはっきりとそれだけを言うと堰を切ったように嗚咽の声を発して号泣した。
 パオラはキアーラを肩から抱きしめて一緒に泣いた。パオラは自分の無力さが悔しかった。13歳の両腕にはキアーラの両肩は大きかった。キアーラの抱えている悲しみはもっと大きいのだろう。。それでも、できるだけ強く抱きしめてあげたかった。自分が今できる一生懸命を、全てキアーラの為に捧げたかったのだ。