キアーラの恋人アントニオ(5)


(ん?)
 キアーラはパオラを気遣ってよく部屋を訪ねた。パオラは明るくて、なんでも話す娘だったので、キアーラはパオラが大好きだったのだ。
 パオラとキアーラは、たわいもない話でも盛り上がった。娘二人が一番盛り上がれるのは、やはり恋愛の話だった。キアーラは、アントニオの話をよくパオラにした。パオラが悲しんでいたり沈んでいたら、アントニオと喧嘩した話をした。パオラが元気がいいと、アントニオのドジ話をしてやった。それを聞いたパオラは、お腹を抱えてよく笑った。その時間が二人にとって幸せなひと時だった。それは、パオラがピエタで頑張っている証であり、キアーラもアントニオによって充実していた証でもあった。