パオラがピエタに来た頃(3)


(モナチンは山で捨てられて、山田家に来たのだ)
 次の日、キアーラがあの眩しい笑顔でパオラの所へやってきた。そして言った。
「パオ、あなたは今日からオーボエをしなさい。オーボエのお姉さまに、あなたの事を話しておいたから。今からそのお姉さまがオーボエを教えてくれるからね。オーボエはけっして易しくはないわよ。だからピエタではお姉さまが吹いていたの。パオが最年少の管楽器奏者になるのよ。だから頑張ってね。」
 その日パオラは少しだけオーボエを練習した。そしてオーボエの、白鳥の鳴き声のような音色がとても気に入った。パオラは嬉しくて嬉しくて、自分の部屋で何度も泣いた。
 その日以来パオラは、キアーラから妹のように可愛がられた。そしてなんでも話をしてくれた。パオラはキアーラに励まされながらオーボエの練習を頑張った。ある程度吹けるようになると、今度はフルートをやらされた。ピエタ合奏団としては、本来は合奏の出番が多いバッソンを先に練習をしなければならなかったが、まだ小さなパオラには大きなバッソンは無理だ、というピエタからの配慮だった。その配慮の背景に、キアーラの助言がピエタ側にあったのは明らかだった。