ヴェネチアの娘たち(7)
(私だって娘なのよ❤)
ピエタ合奏団はヴァイオリン協奏曲【夏】によって再開された。
しばらくすると、さっき話をしたアントネッラがフルートを持って入ってきた。
あとオーボエを持った10代の可愛らしい女の子と、背丈の半分ほどもある長い筒のような楽器を持った女性が現れた。その楽器、フランスではバッソンと言いドイツではファゴットと呼んでいた。ここヴェネチアではフランスと同じくバッソンと言うらしい。
やがて彼女たちが合奏団に合流してから、演奏が始まった。
これが【海の嵐】なのかあ。
フルートを中心に、木管楽器の演奏技術も素晴らしかった。アンナは、ヴァイオリンの上手な演奏を聴く機会は少なからずあったが、これほど見事に技巧を駆使した管楽器の演奏を聴いた事がなかった。ヴァイオリンの速い音型を、管楽器でも同じように演奏している。しかも一音一音がはっきりと聞こえていた。それは息づかいだけではなく、舌を絶妙に使っている成果だろう。フルートもオーボエもバッソンも見事な舌使いだった。