ヴェネチアの娘たち(3)


(どんな所かにゃ〜)
「私はピエタ慈善院の合唱長、ピエトロ・ダッロリオです。マエストロ・ピエタと皆が呼んでくれています。
 ここピエタでの演奏会は大変人気があります。当然、合唱団や合奏団の入団希望者も大勢います。もちろん貴女には『合唱、合奏の娘たち』として頑張ってもらいたいと思っています。しかし、音楽の素養が無いと判断されれば、すぐに『社会の娘たち』として、貴女には手工芸を身につけて働いてもらいます。覚悟しておいてください。で、貴女は合唱と合奏のどちらを希望しますか?」
 アンナはきっぱりと即答した。
「合奏団でヴァイオリンをしたいです。」
 続けて心の中で呟いた。
『お兄さまごめんなさい。言いつけを守れなくて。』