十人十色


(私たちの性格も全く違うのよ・・・)
 山ちゃんがお店『赤いはりねずみ』をオープンして丸々4週間、つまり約1カ月が過ぎた。11月の決算を済ませたら、山ちゃんは暢気にも「まあ、最初はこんなものだろう・・」なんて言っていたが、ルナピンスキーが思うに、こんなものだったら大変ではないか〜という気がしている。赤字じゃないからいいだろう・・なんて言っている場合ではないぞ!山ちゃんの背中には生活がかかっているのだぞ。ルナとライヴィッチとモナちゃんのご飯代もかかるのだからしっかりしてくれよ。
 ところで山ちゃんのお店にはいろいろなお客さんが来たそうだ。山ちゃん曰く。「十人十色だねえ。」灰皿を出しておけという客がいれば、灰皿が目障りだという客がいる。皿が大きいという客がいれば、皿が小さいという客がいる。味が薄いという客がいれば味が濃いという客もいる。メニューが少ないという客がいればメニューがたくさんあるねという客がいる。ようするに十人十色なのだ。オープンしてまだ1カ月しか経っていないのに、エピソードににことかかさない。ルナピンスキーがそれをブログにしたらいいではないか?と助言してやったら、山ちゃんは人のエピソードはプライバシーの侵害になるから書かないと言う。本当に頑固なやつだ。
 山ちゃんの料理の腕はまあ評判は良かったようだ。よくどこかで勉強したのか?と訊かれるらしい。その時山ちゃんは「いえいえ、長年の自炊の賜物ですよ。」と答えているが、ルナピンスキーは知っている。過去に山ちゃんは・・・ウゴウゴウゴ!山ちゃんはお店に迷惑を掛けるから言うな!と口をふさぐ。
ただ、偉そうにこうのたまっている。「出汁の味は完全に盗んだ。料理の基本は実は出汁なんだ。だって、どんな料理本も『だしカップ1』とかしか書いていないじゃない。その出汁をどう作るかが大事なんだ。」だってさ。そして、醤油と酒は熟成させるのだそうだ。そのコツは砂糖にあるのだそうだ。それをブログに書いたらと助言してやったら、苦労して盗んだ味だから人に話さない!だってさ。どこまでケチなんだ。という事で、今回で『赤いはりねずみ』物語は一旦終了する。・・・ん?では、これからは何を書くの?と山ちゃんに訊いたら、この前落選した小説があるからそれを書いてくれという。なんで落選した小説を書かなければならないのか?と訊いたら、その内容が面白いし500枚以上の大作だから是非とも一人でも読んでほしいそうだ。内容は今月に徐々にあらすじ的な前節を書いていって、来年1月から連載しようという。それって手抜きのような気がするけどしかたがない。今の山ちゃんにはいろいろと考える余裕がないらしい。だってお散歩しながら料理の事ばかり考えている。まあルナピンスキーはお散歩にいけるだけでラッキーだけどね。