お隣の鰹節屋さんのおばちゃん


(食べる事にはルナピンスキーもうるさいわよ)
 山ちゃんの店の隣は鰹節のお店だ。山ちゃんはそこのおばちゃんとすっかり仲良くなったんだって。ルナもライヴィッチもそこのおばちゃんが大好きだ。だって私たちが行くと必ずサバ節一本ごと食べさせてくれる。削りたての鰹節も時々くれる。この鰹節が最高だ。本当にうまい。だから山ちゃんは私たちがもらった鰹の削り節を、もったいないからって横取りする。それで出しをとって「最高にいい出し汁がとれた」って喜んでいる。でも本当にうまいのだ。だから山ちゃんの店のおでんは、醤油を使わないでだし汁を生かした京風のおでんにしたようだ。それにフレッシュ鰹節をメインにしたパスタも考案してメニューにしたようだ。おばちゃんは鰹節だけでなく野菜や魚やリンゴなども幼稚園などに卸しているようだ。おばちゃんは山ちゃんがよっぽど気に入ったのか、商品が少しでも悪いと売り物にならないからって山ちゃんに大量の物を分けてくれる。今までもらったものは、リンゴ、梨、柿、ゆず、大根、人参、トマトなどなど・・・本当に気前がいいおばちゃんだ。山ちゃんはそれらを加工して商品にしようと企んでいる。トマトソースやゆずポンなどである。梨のワインコンポートにしたものはデザートにするらしい。(お前それで利益があったらおばちゃんに返さんといけんのじゃないか・・ルナ)
 さて、おばちゃんからもらった鰹節を山ちゃんに取り上げられた私たちだが、そう簡単には黙っていないのだ。ライヴィッチはゴミあさりのプロだ。山ちゃんと奥様が外出した時だ。さっそくライヴィッチがゴミ箱をあさりだした。そしてキッチンの棚の上に見覚えのある新聞の包みを見つけ出した。そうだ、あの新聞紙の中には鰹節があるはずだ。ライヴィッチは流しに手を掛け鼻を伸ばすが届かない。ここで私の登場である。なんたって私は二本足で立ちあがると山ちゃんよりも高いのだ。私が流しに立って新聞の包みを引っ張り出してやった。やっぱり鰹節が入っていた。私とライヴィッチはそれを山分けしたのだった。