気が付くと・・・


(気が付くとモナチンがライヴィッチの部屋に)
 山ちゃんは将来的に今の仕事に期待は持っていなかった。だからといって手をこまねいていてもしかたがない。しかし・・・山ちゃんには才能がなかったのだ。山ちゃんは将来にも希望がないいくつかの根拠を持っていた。その根幹はなんといっても25年間活動してきてその発展の無さであった。それなりに努力もしてきた。それ以上の努力はできなかった。(山ちゃんは外交的ではないのだ。それがいけなかったのだ)
もしそうであったとしても、それで切り開ける環境は山口には無いと見限っていた。
 そこで山ちゃんは将来的にやりたい事の一つとして居酒屋を考えていた。ただしそれは漠然とだった。だって将来的というのが眉唾ものだ。だけど、山ちゃんは奥様の買い物にはついて行くし、外食する時は原価計算する癖がついていた。(嫌な奴だ・・ルナ)なによりほとんど外食をしなかった。山ちゃん曰く。「あんなものにお金を払うなら自分で作った方がいい。」だった。(なんと生意気な奴!・・ルナ)実際外食は本当に美味しい物を。そうでないなら自分で作る。だった。だって原価計算すると家で作ればその3分の1のコストで(店によっては5分の1以下)作れるのだ。なんて思いながら食べてきた。
 そうこうしているうちに、山ちゃんのフルート教室のお弟子さんが激減している事に山ちゃんは気づいたのだった。それは春の発表会で記念写真を見た時・・・いやその発表会の原稿を作っていた時だった。(お前・・それはちょっと遅すぎでは・・ルナ)
それからは、ただでさえ少ないお弟子さんなのに、ひと月ごと一人・・二人・・と、減り続けている・・・まるでお菊さんの心境だ。(ここ笑えない若い人は気にしないでください)気づくと、多い時には10人以上いた山口教室にお弟子さんは3人、多い時は8人もいて新しい人は断っていた宇部教室は2人・・・これはもう企業でいえば倒産であった。