山ちゃんの加齢なる転身記


(それだけではないと思うよ〜)
 山ちゃんが最終的に廃業を決断したのは8月なんだそうだ。だからと言って気まぐれや思いつきで決めたのではないようだ。歯止めの利かないお弟子さんの減少が山ちゃんを決意させたのだ。何年か前までは人から「生徒さんどの位いるんですか?」と訊かれたら決まって「正確に把握していないけど20から25人の間です。」と言っていたそうだ。実際は月1回のお弟子さんを含めるともっといたようだ。
 ところが、山ちゃんが気づいた時にはお弟子さんはけっこう少なくなっていたようである。(お前、早く気付けよなあ・・・ルナ)そこで山ちゃんは好きではないホームページを開いた。いや正確に言うとホームページを奥様に作ってもらって開始した。最初は作曲家のエピソードを書いたりして楽しんでいたようだ。山ちゃんは超アナログ人間だ。毎日ピアノに向かって五線紙に何やら書き込んでいる。パソコンに向きあうなら別の事をしたいと、よく言っていた。その山ちゃんがパソコンに向き合っているのだから、今考えるとその辺りから前兆があったのかもしれない。それでも山ちゃんは頑張ってホームページに何やらいろいろと載せていた。実際そのホームページを見たと教室に来る人もいた。ところがだ、再び不幸が訪れた。パソコンがダメになったので、新しいパソコンに買い換えたのだ。そのとたんホームページがうまく機能しなくなったのだ。回線があっちこっちに飛んで行って糸が縺れたような状態になったそうだ。奥様がお手上げなら山ちゃんもお手上げだし、もともとホームページにも興味がなかったのだ。山ちゃんが何かするはずがないではないか。一応何人かの人にお願いしてホームページの作成などをお願いはしていたようだ。だがそのまま3年位経っただろうか、時は過ぎていったのだった。