ドイツ最後の日


(ライヴィッチ、渾身の顔)
 山ちゃんもいよいよドイツでの最後の日を迎えた。厳密に言うと最後ではない。この日の夜仲間たちが、山ちゃんの為にお別れパーティーを開いてくれる。そして徹夜した後、車を持っている日本人留学生が山ちゃんをフランクフルトまで送ってくれるのだった。その留学生は山ちゃんと同じ時に入学した。始めは山ちゃんと彼は大の仲良しだった。山ちゃんは彼が気に入った大きな理由がある。音楽家というもの大なり小なり批評家ばっかりでうんざりしていた。彼は素直に凄い人は凄いと言えるタイプであった。だから山ちゃんは好きだった。もちろん彼は人気者だった。彼は山ちゃんとは違う人間関係へ向かっていった。それからの約2年間は彼とはほとんど話をする仲ではなかった。
その彼が山ちゃんの為にフランクフルトまで送っていってくれるのだ。その頃のデトモルトの町にはそんな雰囲気があった。つまり日本人同士がなれあいになることなく勉学に集中できる雰囲気があった。
 山ちゃんは夜のお別れのパーティーの前に一日中デトモルトの思い出に浸ることにした。
 ちなみに山ちゃんを送って行ってくれた彼は、のちに帰国した後、さだまさしと意気投合して彼の結婚式の司会をさだまさしがしたそうだ・・・凄い。彼ならありえる・・・と思った。