リコーダーを買いに


(私も何を買いに行きましょうか?)
 山ちゃんは卒業試験が終わってから全面帰国するまでの1ケ月間を充実した日々を過ごした。北欧へ旅行へ行き、帰って来た後は2つのパーティーを開いた。
山ちゃんは帰国するまでに買っておきたい物があった。それはリコーダーだった。山ちゃんの中学生の頃、ドイツのメック社の木製のリコーダーは垂涎の的だった。そのメック社はツェレという小さな町にあり、その町はデトモルトから列車で約3時間のデトモルトと同じくらいの町であるが、観光地としてとても有名な町だった。山ちゃんは観光を兼ねてメック社へ行った。当然であるが、そこにはたくさんのリコーダーがあった。メックのリコーダーは大量生産の木製リコーダーとしては最高峰の楽器であった。山ちゃんはたくさんの楽器から音色が似ている、ソプラニーノ、ソプラノ、アルト、テナー、バスのリコーダーを選んだ。ついでにフルートの前身であるフルート・トラヴェルソという木のフルートも購入する事にした。ところがここでは買えないと言う。地元の楽器店を経由しなければ購入できないと言う。なるほど、ドイツでもいろいろな流通事情があるらしい。でも確実にその日に選んだ楽器を送ると言うので、それを信用してその日はツェレの町を観光してデトモルトへ帰った。
後日デトモルトの楽器店からそれらのリコーダーを受け取った。最高に嬉しいひであった。山ちゃんは、そのリコーダーだけを大切に23年間演奏してきたと言っている。そのリコーダーを全部息子のフーガ君に譲ると言っている。ルナピンスキーとしては今後の山ちゃんの活動が気になったので「じゃあ山ちゃんはリコーダーをやめるのか?」と訊いたら、山ちゃん曰く「これからは学校のリコーダーの2本吹きなどの宴会芸で生きていく」とのたまっていた。何考えてんじゃ!!!(ルナ)