卒業試験の結果発表だ


(うう〜緊張するなあ〜)
 日本の音楽大学では4年生のほぼ全員が試験を受けてほぼ全員が卒業していく。学科で欠点をとったとしても実技で欠点という事はほとんどない。試験結果も通知表みたいなものがあったような無かったような・・・それよりも大事なのは全員が出場できる訳ではない卒業演奏会に出場できるかどうかだった。
 さてドイツの卒業試験は昨日まで載せたように一人の学生の為に教授たちが審査に集まってくれるのだった。そして結果はその場で告知してくれるのだった。よくプロフィールで首席で卒業とか第2位で卒業とか書かれているが、あれは全体の1位とか2位とかではなくあくまでも絶対評価になっている。1位、2位、3位各順番に+と−評価もある。3位以下であれば落第という事になるがそれば滅多にない。何故なら落第になりそうな学生は担当の教授が受験を認めないからだ。
 さて、アヒレス教授に試験会場の中へ入るように促された山ちゃんが中へ入ると、そこには管楽器の教授陣8名が整列していた。壮観であった。代表の教授が講評を言って評価を言ってくれた。『2位』だった。残念でもありうれしくもあった。その後教授一人一人が「おめでとう」と言って握手をしてくれた。涙がでそうになるくらい感動的だった。会場を出ると仲間たちが結果を知りたくて待っていた。山ちゃんが「2番だった」と言うとみんなが拍手をして喜んでくれた。そこへ他のフルートクラスの教授ミュラー・ドンボアが山ちゃんに話しかけてきた。「結果は2番だったが昨晩の演奏会はとても興味深く聴く事ができたし、最後まで飽きないいい演奏だった。」と言ってくれた。山ちゃんは感激した。アヒレスもきて大変喜んでくれた。本当に家族的で生涯忘れられない時間だった。