卒業試験レパートリー試験の巻き


(何をしているのかにゃ〜?)
 コンサート試験の翌朝10時よりレパートリー試験が行われた。レパートリー試験はコンサート試験で演奏しなかった時代の曲などを演奏するのだった。場所は大学内の小ホールで久しぶりのフルート科の試験だったせいか、山ちゃんの人徳のせいか(それはないだろう・・・ルナ)多くのフルートの学生が見に来ていた。もちろん前日審査していた教授陣(管楽器の先生全員確か8人だったと記憶している)もそろっていた。山ちゃんは卒業試験ではその曲の多さから一種のトランス状態におちいっていた。つまりその時、その曲に集中する事のみでいっぱいいっぱいの状態だった。だから変な緊張する事もなく集中した演奏ができたのだった。
 山ちゃんはレパートリー試験で古典派でクーラウのオイリアンテの主題による序奏と変奏曲と近代でデュティユーのソナチネを演奏した。そしてモーツァルトの協奏曲はト長調を他の協奏曲はイベールを演奏して課題曲と初見曲を演奏したこれで約1時間半だ。最後にオーケストラ・スタディがあった。これはオーケストラ曲のフルートソロを吹くもので、オーケストラの入団試験で絶対出されるものだった。当日約10曲吹かされるのであるが20曲レパートリーとして提出しておかなければならなかった。山ちゃんは(多分他のフルート吹きも)嫌な曲が2曲あった。一つはメンデルスゾーン真夏の夜の夢からスケルツォドビュッシーの牧神の午後の前奏曲の冒頭部分だ。オーケストラ・スタディは慣例的には最初に3曲自分で選んで演奏する。その後教授たちが指定した曲を演奏するというものだった。だから山ちゃんは決めていた。嫌な曲を指定されるとプレッシャーがかかるので、始めに自分から嫌な曲をする事にした。だから前出の2曲とあとは大好きなブラームスを吹く事に決めていた。