卒業試験コンサートの巻き


(身が引きしまる思いです。)
 卒業コンサートは大ホールで行われる。山ちゃんは今まで聴衆側だったが、今回初めて演奏者として舞台に立つのだった(当り前だろうが・・・ルナ)
日本のコンクールとかは広いホールにまばらな観客、それもほとんどが出演者に審査の先生だけという雰囲気で拍手も儀礼的で乾いた音しか聞こえない・・・そんな嫌な緊張感あふれる雰囲気は全くない。学生仲間たちも凄く好意的に拍手をしてくれるし、何よりも普通の市民が卒業試験のコンサートを楽しみに観に来てくれるのだった。それはけっして身内とか知り合いではない事が山ちゃんの卒業試験で証明されたのだった。つまり山ちゃんの卒業試験でもおじいさんが孫娘を連れて来ていたり、多くの知らない一般人の顔があった。本当にありがたい事だった。
 アヒレス先生も山ちゃんの卒業試験には張り切ってレッスンしてくれたりいろいろとアドヴァイスをしてくれた。だって山ちゃんが入学した3年前からアヒレス先生のクラスで卒業試験を受けた者はいなかったのだ。何度も言うが卒業試験は何年で受けてもいいのだ。アヒレス先生は人格者なのでみんな長く勉強したいのだろう。
 さて卒業試験のステージはまずバッハの音楽の捧げものからトリオソナタを演奏した。これはチェロの友人イムレとその彼女のヴァイオリン、そしてチェンバロが一緒でかなりいい演奏ができた。次の現代曲も、大学の恩師の作品だったので、誰も知らないし(多分ドイツ初演?)緊張する事も無く集中して演奏できた。その流れでプログラムの最後の名曲ライネッケのフルートソナタ『ウンディーヌ』もいい演奏だった。その勢いで翌朝のレパートリー試験に臨んだ。