知り合いの知り合いがドイツへ来る


(私が大好きなモナチンは私を知り合い位にしか思っていないのでありました・・ルナ)
 ドイツの音楽大学は半年が1ゼメスタという。そして何ゼメスタで卒業するのかは自由だった。但し担当の先生が許してくれたらである。山ちゃんは6ゼメスタの終わりに卒業試験を受ける事になった。その約1年前になる5ゼメスタが始まった。学生寮も引っ越して新しい環境になった。新しいフルートも見つかった。あとは卒業試験の為のたくさんの曲を頑張って練習するだけだった。
 そんな時だった。日本の音楽大学の知り合いから手紙が来た。彼女はアメリカのクリーヴランドにオルガンで留学していた。彼女の手紙によると自分の知り合いの男性の商社マンがドイツに観光に行くのでそちらに行くと思うからよろしくとの事だった。
 こんな事はドイツの日本人留学生ではよくある事だった。そして異口同音にこう愚痴っていた。
「日本だとドイツにいるからって簡単に迎えに来いとか言うけど、逆に日本で北海道にいて東京に迎えに来いとか鹿児島にいて東京に迎えに来いと言われてもねえ・・・」確かにそうだ。だが今回の場合は知り合いの知り合いが音大の雰囲気を見たいからと自分で来るらしい。だから全く問題無しだ。しかもその彼から手紙が届いた。簡略すると「自分は(ある有名大手)商社マンで音楽も好きなのでぜひ尋ねたい」という内容だった。それに山ちゃんの知人と知り合いだという証拠にと一緒に写っている写真が同封してあった。
これは真面目そうな人だ。尚更安心だと山ちゃんは思ったのだった。そして彼がデトモルトにやって来た。